厚生労働省により平成26年6月労働安全衛生法の一部を改正する法律において、心理的な負担の程度を把握するための検査及びその結果に基づく面接指導の実施等を内容としてストレスチェック制度が増設されました。
この制度は労働者のストレスの程度を把握し、労働者自身のストレスの気付きを促すとともに、職場改善につなげ、働きやすい環境づくりを進めることによって、労働者がメンタル不調となることを未然に防止することを主な目的としたものです。
どうしてストレスチェックが必要なの?
仕事に関するストレスを感じる労働者が半数以上おり、また精神障害の労災認定件数が増加していることなどから、メンタルヘルス対策を講じる必要性があります。
メンタルケアの3段階
- <一次予防>…労働者自身のストレスへの気づきおよび対処の支援ならびに職場環境の改善を通じて、メンタルヘルス不調となることを未然に防止する。
- <二次予防>…メンタル不調を早期に発見し、適切な対応を行う
- <三次予防>…メンタルヘルス不調となった労働者の職場復帰を支援する
ストレスチェック制度ではこれらの取り組みのうち、特にメンタル不調の未然防止の段階である一次予防を強化することを目的としています。
どんな企業が対象なの?
常時50人以上の労働者を使用する事業場にストレスチェック制度の実施義務があります。
50人未満の事業場については努力義務とされていますが、労働者のメンタル不調の未然防止のためできるだけ実施することが望ましいとされています。
ストレスチェックを実施していいことはあるの?
- 定期的にストレス状況について検査を行い、本人にその結果を通知して自らのストレス状況について気づきを促し、個々の労働者のストレスを低減します。
- 検査結果を集団ごとに集計・分析し、職場におけるストレス要因を評価し、職場環境の改善につなげることで、ストレスの要因そのものを低減します 。
- ストレスの高い者を早期に発見し、医師による面接指導につなげることで、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止します。
- 欠勤率の低下、労働の質、モチベーションを向上(生産性の向上)
- 疾病予防による傷病手当の支払い減、長期的医療費の抑制(医療コスト削減)
- 優良企業認定によるブランド価値の向上(企業のイメージアップ)
- 企業イメージ向上に伴い、採用活動が有利に(リクルート効果)
ストレスチェック実施後は?
- 高ストレス者は申し出により、医師面談を行うことができます。
- 集団分析の結果、職場改善を行っていきます。
- 労働基準監督署へ報告(50人以上の事業場)が必要です。
ストレスチェックの流れ
ストレスチェックで大切なこと
ストレスチェックの実施のための衛生委員会の運営
衛生委員会でストレスチェックに関する詳細を決定し、運用します。初めにきちんときめることで、スムーズなストレスチェック実施につながります。
ストレスチェック実施の従業員への周知
ストレスチェックの必要性、事後の措置等について、従業員へよく説明し、理解してもらうことで、ストレスチェックの実施率が向上します。まずは、従業員の皆さんにストレスチェックを実施してもらうことが第一歩になります。
高ストレス者に対して面接の勧奨
ストレスが高いという結果が出た方の、メンタル不調を防ぐためにも、医師面接を受けることが必要です。医師面接の申し出をしやすい環境づくりとして、ストレスチェック実施者による医師面接の勧奨は重要な役割があります。
集団分析の結果を踏まえた職場環境改善
集団分析を生かし、衛生委員会やそれぞれの部署で、職場環境改善をしていくことで、働きやすい環境をつくります。働きやすい環境になれば、自然とメンタル不調者が減っていきます。
この4点を抑えてストレスチェックを実施し、有効なストレスチェックにしましょう。